恋をしているあなたへ💖愛することはお互いの現在・過去・未来を共に受け入れること♪

君が僕を見つけた日,上・下,オードリー・ニッフェネガー,ランダムハウス講談社

 

 ひさびさに2冊組の長編を楽しみました.

 楽しむといってもハラハラドキドキの連続でした.

 著者は私と同い年で,ともに教鞭をとるニッフェネガーさん.

 2009年の処女作で全米でベストセラー,そして同名の映画化されたので,ご存知の方も多いかもしれません.

 憧れというにはおこがましさがありますが,同世代として誇らしい存在と感じています.

 この作品を上梓したのち,自らも運命の人と交際することになったようですから,まさに胸のときめく,素敵な作品といえるでしょう♪


 さて本書について紹介いたします.

一言で言えば愛するということは,その人の一瞬だけでなく過去も未来も受け入れながら共の歩むことだと教えてくれる小説だということになるかもしれません.

 

 主人公のヘンリーは図書館で司書をしている青年,パートナーのクレアは芸術を学ぶ学生です.二人はヘンリーの働く図書館で出会う,というか再会します.

 本を探しにきたクレアが,子どもの頃に出会い恋焦がれたヘンリーを偶然,目にしたのです.

 実際の二人の歳の差は8歳ですが,初めて会った二人は歳の差,何と30 歳でした.


 図書館で再会した二人ですが,ヘンリーはクレアのことがわかりませんでした.

 その理由は未来の自分が過去に行ってクレアと出会っていたからです.

 そうです!実はヘンリーは時間旅行者,タイムトラベラー,これは能力のように感じられますが遺伝の病として設定されています.

 ヘンリーのこの能力いや病のため,自分の過去や未来へ旅に出ます.

 と言っても,この時間旅行は,いつ?どこに??何のために⁇?出かけるのか本人の意思ではコントロールできないのです.もちろん現実の時間に戻るタイミングもわからないのです.

 

 内容は二人は正式な交際へと発展していきます.そして結婚し子どもができて・・・.というような単純なストーリーではありません.

 恋愛小説であってもこのような状況設定のため,ハラハラドキドキの連続なのです.


 下巻では現実の世界が中心で,ヘンリーがたびたび過去や未来に出かけ,傷を負って戻って来たり,心身ともにクタクタになって戻って来ます.そんなヘンリーを想うクレアの心の動きがとても切なく感じます.

 クレアの想いの揺れ動きだけではなく,自分の未来を知ったヘンリーの心のうちや行動には大きく心を揺さぶられるものがありました.

 上巻の時間旅行に慣れてからの下巻は,特に二人の心象風景が鮮明に描かれたものであり,共感性や共時性をも感じさせるものがあり,読み応えがありました.


 この小説を書く時,ニッフェネガーさんは二人の人生を時系列で図式化しながら,プロットを考案したようです.

 もし皆さんがこの本を手にしたら,大きな紙を用意して,二人の人生曲線を描きながら,読むのが良いかもしれません.

 そうすると二人の世界どっぷりハマることができると思います♪


 私たちは自分の過去に戻ったり,未来へ旅することはできませんが,愛する人の今を想うときに,共に過去のことを受け入れて,未来を描いていくことならできるように思います.


 家族や友人,愛する人と再びゆったりと語り合う時が訪れる時を楽しみにしているこの時期に,楽しめる一冊かもと思っています♪