知的医学謎解き♪/医師の素敵な聡明さと不思議な病気や病院のことを学ぼう!

天久鷹央の推理カルテ/知念実希人新潮文庫

 

2年ほど前にドラマ化されたものの原作です.

医術は仁術とも言われますが,病気と治療に強い関心を持つスーパー女医,天久 鷹央(あめく たかお)先生とその部下の元外科医「小鳥」こと小鳥遊(たかなし)先生が統括診断部で繰り広げる医療ミステリーです.

本屋さんの平置きに読めないタイトルと著者名やポップに思わず見惚れていたら,横から「面白いよ!」と勧められました!


医療ものの小説はやや奇を衒ったものが多い印象もありますが,知念さんの小説はライトな文体の中にも洗練された話題を取り上げており,奥深さを感じます♪

一部を紹介したいと思います.

・ある晩,深夜勤で病室を巡回している看護師が青白い人魂を見て騒ぎになりました.当初,喫煙を親に告げ口された入院中の高校生の仕業だと推理し,あっと言う間に解決されたように見えましたが,実は彼は模倣犯で,事の発端は同室のアルコール依存症で入院中の患者さんが引き起こした人魂騒ぎでした.

 アルコール依存症の持つ本当の怖さを教えていただいたように思います.


・自分の子どもを鷹央先生が誤診したと疑って病院を訴え,我が子を甲斐甲斐しく看護する母親.実は代理ミュンヒヘン症候群を持ち,我が子の命まで奪いかねない危うさを持っていました.

 このように普段耳慣れない難しそうな病いについても本書で分かりやすく説明されていて,その概要や背景を知っているだけでも何か人に優しくなれそうな気がしました.

 物語は病院に入院または訪れる人々の不思議な現象を解き明かす謎解きゲームのようですが,単に病気の発見だけでなく病院で繰り広げられる人々の心の動きが私たちをハラハラやドキドキで十分に楽しませてくれます!

 ちなみに同名小説はすでに10 巻ほど出版済みのようですから,これからたっぷりと素敵な知的好奇心を満たしてくれる気がしています♪